2010年03月05日
林正樹ピアノソロコンサート
教会に設えられたグランドピアノ。
まるで月明かりのようにスポットライトが鍵盤を照らす。
ちょっと張り詰めた空気・・・
演奏者が最初の音を奏でた。空気は一瞬にして柔らかく、私たちを包み込んだ。
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私の傍らで、CDがさっきまでの音楽を再現している。
といっても、音の広がり、低音の身体に響き渡る感じ、かすかに聴こえる高音の響きは、残念ながら生には勝てない。
それに、彼の音楽は、同じ曲でも、CDの中には再現されていない音、満載だった。
教会の外を、鐘を鳴らしながら、火の用心の車が通り過ぎた。
「あの時の鐘の音と、あの曲の出だしの音、一緒でしたね?」とコンサートの後にお話しすると、
「あっ、今日はあの鐘の音と同じ音から始めました」というお答え。
心憎い演出に頭が下がった。
時折、予想を覆す音に曲は終わり、そのもやもやを、また晴れやかなフレーズで解放す。
好きな人に、じらされて、最後に「好きだよって」言ってもらったような、後からくすっと笑ってしまうようなそんな音だった。
帰り道、コンビニでシュークリームを買って、頬張りながら歩いた。
クリームがビュッと出て、頬にくっついた。なんだか楽しくて、そのまま帰った。
林正樹 「Flight for the 21st」
- 投稿者:上級野菜ソムリエ 小原 薫
- 投稿日:2010年03月05日 21:37
- カテゴリー:上級野菜ソムリエが贈るその他のお話




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